イノベーション・オブ・ライフ~最高の人生を生き抜くために~

今回の書評はイノベーションのジレンマなどを書いたハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授による人生経営学の本になります。

 

この本は実際にハーバード・ビジネス・スクールにおいてクリステンセン教授が生徒たちと行った授業で、以下の3つの質問に答えていくといったものになります。

・どうすれば幸せで成功するキャリアを歩めるだろう

・どうすれば伴侶や家族、親族、親しい友人たちとの関係を、ゆるぎない幸せのよりどころにできるだろう

・どうすれば誠実な人生を送り、罪人にならずにいられるだろう

 

本書の特徴は上記の人生の根源的な問題に、「理論」を使って、回答していくところだ。

理論とは、「何が、何を、なぜ引き起こすのか」を説明する、一般的な言明のことである。

本書で紹介されている理論は、人間の営みに対する深い理解ー「何が、何を、なぜ引き起こすのか」ーに支えてられており、世界中の組織によって徹底的に検証、活用されてきているため、わたしたちの日々の決定にも指針を与えてくれる。

幸せなキャリアを歩む

二要因理論、別名動機づけ理論(モチベーション理論)

この理論は、衛生要因と動機づけ要因という、二種類の要因を区別する。

衛生要因:少しでも欠ければ不満につながる要因

例:ステータス、報酬、職の安定、作業条件、企業方針、管理方法など。

「仕事に不満がある」の反対は、「仕事に満足している」ではなく、「仕事に不満がない」だ。衛生要因を満たすことは大切だが、それだけで、仕事を心から好きになれるわけではない。

動機づけ要因:仕事に心から深く満足させるもの

例:やりがいのある仕事、他者による評価、責任、自己成長など

動機づけ要因は職業や時間を経てもあまり変わらないため、これを絶対的な指針をして、キャリアの舵取りをしていけばよい。

 

動機づけを与えてくれ、衛生要因を満たすようなキャリアを、実際に見つける必要がある。

戦略は、意図的戦略と創発的戦略の2つの要素からなる。

どちらを選ぶべきかは、あなたが道程のどこにいるかによって決まる。

あなたの求める衛生要因と動機づけ要因の両方を与えてくれる仕事がすでに見つかっているなら、意図的戦略をとるのが理にかなっている。

対して、こうした条件を満たすキャリアがまだ見つかっていない人は、創発的戦略をとる必要がある

肝心なことは、外へ出ていろんなものごとを試しながら、自分の能力と関心、優先事項が実を結びそうな分野を身を以て知ること。本当にやりたいことが見つかったら、そのときが創発的戦略から意図的戦略に移行するタイミングだ。

いま検討している仕事で自分が幸せになるには、どんな仮定が立証されなくてはならないか考えよう。

 

口で言っているだけでは戦略にならない

資源配分の方法が、自分の決めた戦略を支えていなければ、その戦略を実行していないと同じ。

わたしたちはプライベートな時間や労力、能力、財力といった資源をもっていて、これを使ってそれぞれの人生でいくるものの「事業」を育てていく。

残念ながら資源には限りがあるため、それぞれの事業は資源を得ようとして競い合う。

あなたの資源配分プロセスは、意識して管理しなければ、脳と心にもともと備わった「デフォルト」基準に沿って、勝手に資源をふりわけてしまう。

 

以上が1つ目の質問、どうすれば幸せなキャリアを歩めるだろう、に対しての回答になります。

もっと詳しく知りたくなった方は、ぜひ本書をお手にとってみてください。