21世紀のメタスキル:自己認識(セルフ・アウェアネス)

insight  いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力

ターシャ・ユーリック 著

についての解説になります。


何故、自己認識が必要か

自己認識は21世紀のメタスキルであり、現在の世界における成功にとって極めて重要な各種の力-心の知能指数、共感力、影響力、説得力、コミュニケーション力、協調力など-はすべて自己認識が元になっていると著者は言う

つまり、自己認識とは、充実した人生にとって必要条件であるのだ。


自己認識とは、何か

自己認識とは、「自分自身」と、「他人からどう見られているか」を理解しようとする意志とスキル。

自己認識は内的自己認識と外的自己認識に分けられる。

内的自己認識は、自分自身を明確に理解する力を指す

外的自己認識は、外の視点から自分を理解すること、つまり周りが自分をどう見ているかを知る力を指す

この二つには相関関係はなく、また両方とも誰でも伸ばすことができると著者は言う。

要するに、真の意味で自分を知るには、自分自身を知ると同時に、自分がどう見られているかを知る必要がある。


自己認識の伸ばし方

自己認識をひとつの旅と捉えるなら、インサイトはその道中で起こる「アハ体験」と言える。

つまりインサイト=気づき・洞察

大人になってから自己認識に劇的な向上があった者たちを指して自己認識ユニコーンと呼ぶが、この者たちには、自己認識に欠けた人々には見られない特徴的な七種類のインサイトを持ち合わせていることが分かった。

インサイトの七つの柱

・価値観:自分が送りたい人生のガイドとなる行動指針

・情熱:自身が愛を持って行うもの

・願望:経験し、達成したいもの

・フィット:自分が幸せで存分に力を尽くせる環境※上記価値観・情熱・願望ができた後に築かれる。自分の価値観を知り、自分が情熱を燃やすものを知り、人生で何を経験したいかを知ることで、はじめて自分にとって理想的な環境を思い描くことができるようになる。指標はエネルギー。あなたの環境はエネルギー生むのか、それとも奪うのか

・パターン:思考や、感情や、行動の一貫した傾向

・リアクション:自身の力量を物語る思考、感情、行動

インパクト:自分の行動が周りへどう影響を与えるか*リーダーにとって特に重要

七種類のインサイトすべてにとって、一番大切なのは内側の視点と外側の視点の両方を持つことだ。

自己認識ユニコーンたちは人生に生じる出来事を追い風にして、内的自己と外的自己の理解に活かそうとする。

自分にとって重要な真実に目を開かせてくれる出来事をアラームロック・イベントと呼ぶ。

アラームロック・イベントは三つに分けられる

①新しい役割/新しいルール

②激震

③日々のインサイト-上記二つより二倍おおい。

自分についてインサイトを得ることで、セルフ・アウェアネスを鍛えていくことができるが、二つの大きな障害について知っておく必要がある。

一つ目の障壁

-ブラインドスポット:自らの思い込みには気付かけない

 ブラインドスポットには三つの大きな要素がある。認識の盲点・感情の盲点・行動の盲点

 ブラインドスポットは三種類の盲点の組み合わせ

 最初のステップは、自分の中の前提を知ること

 →アプローチの方法は

・過去にした予測と実際の結果を比較検証する習慣を身につけること

・自分がよく知っていると思っている分野をひたすら学び続けること

・自分の能力や行動に対するフィードバックを求めること

*1番可能性が高いのが客観的なフィードバック

二つ目の障壁

-自分教というカルト:自分が唯一無二で、特別で、周りより優れているのだ!

 努力の時代→自尊の時代(20世紀半ばより)

 *自尊心と成功の間の相関関係は皆無

 自己陶酔から自己認識へ

 三つの戦略

 ①インフォーマーになること:自分とは関係のない情報(役に立つ記事、面白い考察、笑える動画など)を投稿する=自分への注目を減らし、他人と関わり、つながっていくこと

 ②謙虚さを養うこと:自分の弱点を理解し、正しいあり方から目を逸らさないこと

 ③自己受容に励むこと:自尊が客観的な事実はどうあれ自分は素晴らしいのだと考えることであるのに対し、自己受容は、自分についての客観的現実わ理解し、その自分を好きになろうと決めること


ここからは内的自己認識を高める方法を見ていく

内省とインサイトには何ら相関関係がなかった。

内省が自己認識を生むという前提は迷信だ

内省は多くの人が間違って行っているから問題であり、適切な方法で行えば、無駄ではない。(ここでは割愛)

インサイトを向上させる別々ではあるが補完し合う三つの戦略

マインドフルネス判断を下したり、反応することなく、ただ自分の思考、感情、行動に気づくこと

新しい物事に気づき、既存の考えを手放し、新たな知見をもとに行動していくプロセス

①現在の自分を知るもの

 方法はリフレーミング、比較と対比、日々のチェック

②過去に根ざしたパターンを精査するもの

 ライフストーリー

③自分を見つめて得たものを未来に活かすもの

 自己認識が進むと今の自分と将来なりたい自分との落差を知る

 ここで、行動するかどうかが成功と停滞をわける

 未来を形作るソリューションマイニング


ここからは外的自己認識を高める方法を見ていく。

基本的に、あなたのことはあなたより他人の方が客観的に見ている。さらに、あなたが知らない人でも、貴重なフィードバックの情報源になりうる

自己認識とは、唯一の真実かあるものではなく、自己認識は、自分についての自分の見解と他人の見解が複雑に織り混ざったもの

外的自己認識を得るにあたっての二つの障壁

①マム効果:望ましくないメッセージについて沈黙を保つ

②自分もフィードバックをなかなか求めない

外的自己認識を得るための三つの戦略

❶360°評価

❷適切なフィードバック:すべてのフィードバックは同質ではない。適切な人々を選び、適切な質問をして、インサイトに繋がる実行可能な情報を得るための適切なプロセスを踏まなければならない

適切な人々:愛のある批判者。

基準は三つ

①相互信頼の度合いも重要。言葉よりも行動で判断。あなたが本当に信頼を置け、やり遂げるのを近くで支えてくれる人

②自分がフィードバックをもらいたい行動を相手が十分目にしていること、そして理想像がどのようなものかハッキリ分かっていること

③こちらに対して残酷なまでに正直になる意志と能力があるか

適切な質問:最も重要な特徴は具体的であること

具体的な仮説から、適切な質問が生まれる

仮説の立て方:インサイトの柱のことを思い浮かべるか、過去に受け取ったフィードバックを思い返してみること。一度に一つか二つの仮説だけに絞るのが得策

適切なプロセス

まず準備期間。次に、そのデータを収集する

❸真実のディナー:深い関係の人をご飯に誘い、あなたの一番嫌なところを尋ねてみる。


3Rモデル:うまくフィードバックを受け止めて、それに向き合い、行動する方法

向き合う時、三つの質問を投げかける

①自分はこのフィードバックを理解しているだろうか

②このフィードバックは、私の長期的な意味での成功と幸福に、どう影響するだろう

③このフィードバックに対して行動を起こしたい?もしそうなら、どんな風に?


この他にもリーダーがチームと組織の自己認識を高める方法、巻末資料など紹介しきれなかったことが多々あるため、興味が湧いた方はぜひお手に取ってみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。